インタビュー

「色」に導かれ、未経験から伝統的な草木染の織り手へ。
北秋田で紡ぐ、秋田八丈の新たな未来

 [60KB]

プロフィール

北秋田市地域おこし協力隊 藤原健太郎さん

〇所属:北秋田市役所産業政策課 秋田八丈「はまなす工房」現役隊員
(活動期間:2023年9月~)
〇活動内容:伝統工芸「秋田八丈」の承継
〇出身地:岩手県盛岡市


―「鳶色(とびいろ)」の衝撃
大学卒業後、未経験で飛び込んだ伝統工芸の世界―

藤原さんは岩手県の大学を卒業後、自らの将来を見つめ直した際に出会ったのが、伝統工芸を紹介するテレビ番組だった。そこで目にした一筋の色――「鳶色」に、彼は魂を射抜かれる。

「今まで着物に縁があったわけでも、染物に興味があったわけでもなかった…ただ、その色の深さに、理屈を超えた衝撃が走った」

その色は、「秋田八丈」特有の渋みのある焦げ茶色だった。安定した職に就く道もあったが、藤原さんは直感に従った。
協力隊という制度すら知らずに市役所へ電話をかけ、北秋田市が提供する「お試し移住体験」を活用。2泊3日の滞在で工房の空気に触れ、「すぐにここに移住したい!」と即断した。2023年9月、彼の北秋田での新たな人生が幕を開けた。

初めてこの地を訪れた時、藤原さんを包み込んだのは不思議な「懐かしさ」だった。盛岡の住宅街で育った彼にとって、雫石にある祖父母の家で見た田畑の風景と、北秋田の景色が重なったのだ。「初めて来たはずなのに、まるで祖父母の家に来たような感覚だった」その直感的な安心感が、見知らぬ土地への移住という大きな壁を溶かしていった。

 [132KB]

 [284KB]


―「日本で二人きり」の工房。75歳の師匠と対峙する職人修行の日々―

現在、藤原さんが身を置く工房には、75歳の師匠と彼の二人しかいない。糸を染め、機(はた)を織り、反物に仕上げるまでの全工程を一貫して行う工房は、全国的にも極めて希少だ。
「毎日が工房と家の往復。師匠と一対一で向き合い、手から手へと技を受け継ぐ日々だ」
当初、北秋田の強い訛りには戸惑った。しかし、師匠は盛岡出身の藤原さんを気遣い、聞き取りやすい言葉で粘り強く指導してくれた。

「秋田の人は、身内をすごく大事にする…一度懐の中に入れていただければ、これほど心強い場所はないです」

雪寄せを手伝い、地域住民と協力し合う中で、藤原さんは人との繋がりの強さを実感していった。その絆こそが、孤独な修行を支える大きな糧となった。

 [180KB]

 [506KB]


―「個人事業主」としての自立戦略―

藤原さんのキャリア形成もまた、協力隊員にとって示唆に富んでいる。当初は「会計年度任用職員」としてスタートしたが、民間企業への隊員の受け入れを経て、現在は「個人事業主(委託型)」へと働き方をシフトさせた。

「組織に属する安心感よりも、職人としての自由度と自立を優先した…経費の扱いや時間の使い方の自由度が上がったことで、より活動に集中できるようになった」

現在は、自身の技術を活かしたプロデュース活動にも精を出す。能代市の木工職人とコラボレーションし、秋田八丈の生地を用いた「アンドン」を制作するなど、織物の枠を超えた新たな価値の創出に挑んでいる。
伝統技術の継承という、収益化までに時間を要する分野において、協力隊制度を「自立までの猶予期間」として賢く活用した点も、彼の特筆すべき戦略と言える。

 [448KB]


―未来の協力隊へ。衝撃を信じ、自らの「好き」を貫くということ―
 

藤原さんは、協力隊の任期終了後も北秋田に残り、工房を継承することを既に決めている。卒業を控えた今、自らが染め、織り上げた反物を仕立てに出している。

「いつかは、自分が作った秋田八丈の着物を纏ってイベント等に出席したい…それが職人としての第一歩だと思っている」

協力隊を目指す方に対し、藤原さんはこう語る。

「協力隊という制度は、自分のやりたいことを実現するための強力なパスポートだと思う…もし、心が震えるような何かに出会ったなら、迷わず飛び込んでほしい…特に若い世代なら、合わなければやり直せばいい!まずは一年でもいいから、飛び込んでみてほしい」

・秋田八丈「はまなす工房」 https://akita8jo-hamanasu.com/
・秋田八丈はまなす工房オンラインショップ https://akita8jo.stores.jp/
・秋田八丈はまなす工房インスタグラム https://www.instagram.com/akitahachijo/

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 人口戦略部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

ページ上部へ戻る