インタビュー

「大好きな地元」の未来を、空き家から拓く
移住者のポテンシャルが開花する街にしていきたい

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プロフィール

にかほ市地域おこし協力隊 鈴木憲人さん

○所属:にかほ市連携推進課(活動期間:2023年5月〜)

○活動内容:移住定住サポート・空き家相談

○出身地:秋田県にかほ市


―16年の都会生活で気づいた、地元の価値―

にかほ市出身の鈴木憲人さんは、高校卒業と同時に上京。東京や横浜で約16年間、様々な職を経験しキャリアを積んできた。元々、地元は大好きで、心のどこかでは常に「いつかは地元に戻る」という思いがあったという。
「幼少期は地元のお祭りや行事に参加して大人たちが地域を引っ張っていく姿をかっこいいと感じていましたし、その大人たちに見守られながら海や山で子ども同士で遊ぶ、そんな暮らしが大好きでした。
都会で暮らす中で、何百年も続く地域の行事や歴史はもちろん、郷土愛を持っている自分、郷土に誇りをもつこと自体の価値や、地域の人の温かなつながりの価値をよりはっきりと感じるようになりました。実家は『屋号』があるほど古い家系でルーツを遡れる。そんな自分の形成に関わってきた地元の歴史の中に自分がいる。そういう感覚が好きだし、豊かさを感じる自分がいました」
大型連休のたびに帰郷し、海や山での遊びを楽しむ中で「いつか」という思いは、確信に近い「帰りたい」という欲求へと変わっていった。

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―「帰るなら今」家族の言葉に背中を押されて―

「帰りたい」と思い始め、移住のタイミングを模索して約10年。決断の決め手となったのは、妻の一言だった。 「本気で帰るつもりなら、今なんじゃない?」。
移住や引越しによる生活環境の変化は、子どもにとっては成長するにつれて負担が大きくなっていく。移住後の仕事が決まっていない状態ではあったが、「今しかない」と決意を固めた。
「まずは市のホームページから移住希望者登録をしました。すると、すぐにオンライン面談の連絡が来て、対応してくれたのが当時の移住リエゾンでした。そこでの対話が盛り上がり、年明けに東京で開催された移住フェアで直接お会いすることになったんです。そこで、ちょうど前任者の退任に伴う協力隊の募集があることを知り、二つ返事で応募を決めました。『移住リエゾン』という移住サポートの仕事で、地元のことはよく知っていましたし、さらに情報をアップデートしつつ、チームでの活動ということだったので、できそうだと感じました」

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―移住者と地域が混ざり合う、心地よい「場」のデザイン―

2023年5月に着任し、移住リエゾンとしての活動がスタートした。鈴木さんが大切にしているのは、移住した「後」のサポートだ。
「移住してきてくれてありがとう、で終わりたくないんです。その後の生活がどれだけ豊かになるかも重要。そのために移住者と地元の方々の交流を目的にしたイベントを開催しました。」
例えば、『にかほ★JOY』 。イベントのユニークな点は、地域の移住者・プレイヤーを主役に据えること。「自然遊び」や「食」のコンテンツを持つ移住者や団体に講師を依頼し、鈴木さんをはじめとした移住リエゾンは企画と調整に徹する。
「これまでに『にかほ★JOY』では竹筒ご飯を作ったり防災を学んだりして楽しむキャンプイベントを企画しました。さらに、街歩きを楽しむ『ブラにかほ』を開催しました。地域住民と移住者が自然に交流し、新しい住民が町に馴染んでいく。そんなきっかけを、チーム一丸となって作っています。」
そのほか、移住相談、首都圏移住フェアへの出展、移住体験住宅の運用、移住体験ツアーの実施。移住先としての認知度はまだ低いが、移住体験は好評だ。6月~9月の夏場は特に人気で、毎週のように予約が埋まる時期もあったという。

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―行政の枠を超え、空き家マッチングの「仕組み」を自ら作る―
 

活動を続ける中で、鈴木さんは一つの大きな壁にぶつかった。「空き家はあるのに、移住者が借りたい賃貸物件が圧倒的に足りない」というミスマッチだ。 空き家の所有者の多くは「手放したい・売りたい」なのだが、移住者の多くは「賃貸」を希望しているのだ。
「行政サービスとしての空き家相談対応には限界があると感じました。ならば、自分自身がその仕組みをアップデートできないかと考えたんです。2年目の冬、にかほ市が主催する起業支援プログラムに参加し、メンターの伴走を受けながら事業構想を練り上げました」
目指したのは、宅建業免許がなくても展開できる、空き家管理代行と賃貸マッチングのモデルだ。2025年10月には自ら『Re:nikaHOMEリニカホーム』という屋号を掲げて開業届を提出。

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「この仕組みが成功すれば、他の地域の協力隊も真似ができるはず。一人の力ではなく、誰もがトレースできる『持続可能な空き家活用』の形を、にかほ市から発信したいと思っています」


―トライ・アンド・エラーが、町を豊かにするコンテンツになる―
 

現在は、協力隊としての活動と並行して、自身の事業のための「賃貸しても良い物件」獲得に向けて奔走する毎日。
鈴木さんは、協力隊という制度を「最高のトライ・アンド・エラーの場」だと語る。
「行政のバックアップがあることで、地域の人に信頼され、すっと中に入っていける。これは大きなアドバンテージです。だからこそ、これから協力隊を目指す人には、失敗を恐れずにたくさん挑戦してほしい。その試行錯誤のプロセス自体が、町の新しいコンテンツになっていくからです。」

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―移住は、その人の「ポテンシャル」が開花するきっかけ―
 

鈴木さんが見据えるのは、単なる人口減少対策としての数字ではない。 また、空き家というハード面だけのサポートでもない。
「人口減少を解決する、という大きな目標だけでは救えないものがあると思っています。それよりも、移住をきっかけにその人の生活の質が上がり、その人らしい生活が実現すること、またはポテンシャルが開花すること。そんな人の暮らしのサポートができれば嬉しいです。例えば、アーティストが移住先で景色を見て新しい発想を得たり、都会では希薄だった人とのつながりが生きがいになったり。そういった『個人単位の幸せ』を支えることで、街全体への波及効果へと繋がれば、そんなサポート役になっていきたいです」
賃貸可能な空き家がほぼないという「0」の状態を「1」に変え、その先の豊かな暮らしまでを紡いでいく。 「大好きな地元のために、これからも個人と地域の幸せな関係をデザインしていきたいですね」

Re:nikaHOMEリニカホーム空き家賃貸マッチング

https://lit.link/renikahome?utm_source=ig

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 人口戦略部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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