インタビュー

根を張り、花を咲かせる -10年の歩みが育てた、秋田で“自分軸”を生きる楽しさー

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プロフィール

元鹿角市地域おこし協力隊 勝又奈緒子さん(活動時期:2017年4月~2020年3月)

○現役時代の所属:鹿角市政策企画課

○現在:Nehana代表/NPO法人かづのclassy理事

○現役時代の活動内容:移住促進に関わる業務(移住希望者からの相談対応、情報発信、移住体験の企画・実施等)、

           関係人口「鹿角家」の運営

○出身地:神奈川県川崎市


―「孫ターン」での移住。ゼロからの覚悟を決めた、家族の決断―

神奈川県川崎市出身の勝又奈緒子さんが鹿角市へ移住したのは2017年のこと。夫の祖父母が守ってきた築150年の家を継いでほしいという相談がきっかけだった。 「最初は知り合いもいない秋田への移住に抵抗もありました」と勝又さんは振り返る。しかし、母からの「地方での子育てはいいよ」という後押しもあり、夫が市役所の採用試験に合格したことを機に家族で移住。自身も「3年間の任期の中で、まずはこの街にどんな人がいて、どんな仕事があるのかを知ろう」と考え、移住コンシェルジュとして地域おこし協力隊の活動をスタートさせた。

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―自分の「好き」を入り口に。首都圏のメディアと組んだ移住PR―

活動を始める際、勝又さんが大切にしたのは「かつての自分のような都会の読者やリスナーに届けること」だった。自身が愛読していた雑誌『チルチンびと』や、TOKYO FMの番組『スカイロケットカンパニー』に自ら連絡を取り、タイアップ企画を提案。
「自分が関東にいた頃に触れていたメディアなら、鹿角の暮らしをより身近に感じてもらえると思ったんです」
この提案に対し、市役所の担当職員も予算獲得や調整を全面的にサポートしてくれた。雑誌では10ページを超える特集が実現し、鹿角での暮らしを体感するホームステイ型の滞在を企画。実際の暮らしに踏み込んだツアーをデザインした。一方、ラジオ企画では番組パーソナリティと鹿角を訪れたいリスナーを募集し、地元の製造業や介護現場を巡る「仕事体験」を盛り込んだツアーを実施。移住を考えるうえで欠かせない“働く”という視点から、地域のリアルを届けた。この取り組みは、ツアー後も継続的に鹿角を訪れるような、「関係人口」の繋がりを生むことになった。

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-「ない」からこそ、自分たちでどうにかする。主体的で豊かな暮らし―

都会から移住した当初は、映画館やショッピングモールがない環境に戸惑いもあった。
「最初は『週末はどこに遊びに行けばいいんですか?』って聞いていたくらいで、自分でも驚くほど嫌なやつだったと思います(笑)」と振り返る。しかし、地域の人とつながり、遊び方や旬の扱いを教わるうちに、価値観は少しずつ変化していった。
「都会では情報が勝手に入ってきますが、ここでは自分から取りにいかないと何も始まりません。でも、その『主体的に動く』ことそのものが、いつの間にか暮らしへの自信に変わっていきました。例えば、採れすぎた野菜から保存食を作ってみたり、産婦人科が近くにないからこそ、食べ物や運動に気をつけて自分の体と丁寧に向き合ったり。外部のサービスを消費するのではなく、自分たちの手で生活を回していく手応えが、今の私にとっての豊かさなんです。雪かき、落ち葉の片付け、生活の仕事が多く、暮らしってこんなに大変だったっけ?と思いますが、一方で柿を子どもと収穫したり、『桜の次は桃の花が咲くね!』『庭で雪キャンプしてみよう』と、自然と共に暮らす生活を楽しめていると思います」
そんな日々の工夫は、家族のあり方にも影響を与えた。実家に頼れた環境を離れ、雪に閉ざされる冬も、自分たちで判断し、動かなければならない。
「安易に頼らず、リソースが少ない中で自分たちがどうしたいかを考える。全ての判断軸が夫婦や子どもたちになりました。この10年、チームとしての家族の結束力は間違いなく強くなりましたね。『10年前より、今の自分たちの方がいい顔をしている。』と、夫婦で胸を張って言えることが、何よりの財産です」

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―冬は「根」を張る時期。10年かけて紡いだ地域との繋がり―
 

協力隊卒業後は、移住支援や関係人口事業を担う「NPO法人かづのclassy」の事務局として活動しながら、農業にも携わってきた。現在は同NPOの理事として関わりを続けつつ、2026年1月に個人事業主として『Nehana(根花)』を立ち上げた。
「秋田の厳しい冬はじっと『根』を張る時期。そして春に花を咲かせる。屋号にはそんな想いを込めました」

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現在実践しているのは、農業とテレワークを組み合わせた、季節と共に動く働き方だ。鹿角市が推進するテレワーク事業を活用し、オンラインを通じて食学講座の案内も行っている。農繁期は土に触れ、農閑期にはテレワークに重きを置く。そんな地域に根ざしたハイブリッドな働き方が整いつつある。
「神奈川時代の宝石販売で培った接客スキルを、今の講座販売の仕事にも生かせているのが嬉しいですね。地域で暮らす中で、やりたいことはあるけれど、形にするのが難しいという方にたくさん出会ってきました。これからは、私の得意とする『繋げる力』で、そんな誰かの挑戦をサポートしていきたいと思っています」
移住してからの10年を「根を張ってきた期間」と捉える勝又さん。これからは培ってきたコミュニティを土台に、より自分自身のやりたいこと、自分軸に重心を移して地域と関わる生き方へとシフトしようとしている。


-自分が楽しむことが、結果として地域おこしになる―

「地域のために」と必死に走った時期を経て、今、勝又さんは活動の原動力をより自分の内側へと向けている。「以前は移住促進など広域な課題に全力で向き合ってきました。もちろんそれも大切な時間でした。でも今は、“自分がやりたいこと”に正直でいることを大切にしたい。農業もテレワークも、趣味のミュージカル出演も。まずは自分が楽しみ、主体的に生きる。その姿が誰かの背中を押したり、新しいつながりを生んだりするなら、それが私にとっての地域づくりなのだと思っています。」
かつては都会の流行を羨ましく思うこともあったが、今は季節の移ろいを肌で感じ、家族や仲間と丁寧に暮らす日々に心から満足している。

 

湯沢市 地域おこし協力隊 古賀 恵理子さん                        (活動期間:2020年4月1日〜)

PRとデザインの力で地域のブランディングに貢献する
大潟村地域おこし協力隊 明平 冬美(あけひら ふゆみ)さん
(活動期間:2021年10月〜)
○所属:大潟村総務企画課
○活動内容:地域資源の価値創出、関係交流人口の創出と拡大・イベントの開催、秋田県立大学との連携強化
○出身地:秋田市

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 人口戦略部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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