インタビュー

空き家活用で町にアートの発信基地をつくる

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プロフィール

元五城目町地域おこし協力隊 小熊隆博さん(活動時期:2015年7月~2017年3月)

○現役時代の所属:五城目町住民生活課

○現在:発酵バーク(株) 代表取締役
    (同)みちひらき 代表社員

○現役時代の活動内容:空き家対策

○出身地:秋田県五城目町


―ギャラリーの概念を変えた直島との出会い―

いつかは地元、秋田県五城目町を拠点に活動したいと考えていたため、そのための生業を考えながら京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)の大学院に通っていた小熊さん。
修了後は直島・豊島(香川県)、犬島(岡山県)を舞台としたアートプロジェクト「ベネッセアートサイト直島」に7年半携わり、施設の運営やトークイベントの企画、広報誌の執筆などの仕事を行った。
直島には美術館やギャラリー、さらに集落にはアート作品として点在している空き家もあって、美術館そのものの概念が広がった。そうした環境の中に身を置き、仕事に携わる中で、「単に作品を展示する場所だけがギャラリーではない」という感覚が醸成されていったという。
直島で展開していたように「作品として見立てて空き家を直す」ことはできないが、ギャラリーの概念やその役割を捉え直したら、同じ意義を持つ取組ができるのではないかという発想を持ち始めた。
そんな折、子どもが小学生になる前に地元に帰ることを検討しはじめ、Uターンと起業の準備をする最中で先輩協力隊員に出会い、五城目町での募集があることを知った。

 


―自分らしい空き家の活用術―

協力隊の活動として、まず町内の空き家の軒数やコンディションの調査、移住希望者とのマッチング業務を行った。
同時に、小熊さん自身も空き家を活用して“ものかたり”というギャラリーを2016年4月にオープンした。子どもたちの自由を育む場所を作りたいと思い、築100年以上の空き家を改修した。本の販売や展覧会、ワークショップ、講演等の開催、地元職人によるオーダー商品等の取り扱いを行っている。
「アートによる表現だけではなく、生き方自体を表現できる広い意味でのアートを扱える場所が地元にも必要だと感じました。五城目町の人にとってギャラリーは身近なものではないので、おそらく私自身を不思議な目で見ていたと思います。それで生活していけるのか?なんて思っていた人もいたと思います。でも、県外から来る美大生や先生が面白がってくれました。そこから派生し、外からの人が訪れる流れができたとも思います。」
「自治体も行政の責任として、地域に移住・定住を促進する取組をする必要があるのですが、日本のみならず世界中で人口が縮小していくフェーズです。となると、縮小していく中でどんな風に社会が機能するかを考えたほうが建設的で、効率がいい。例えばアートの業界では美術館があり、アート業界に身を置く専門のアーティストが作品をつくるという分業が行われてきましたが、今後は多分、そういったやり方は成り立たなくなると思います。なので、私としてはものかたりをギャラリーとしての役割だけでなく、教育の場としても活用することで、地域が子供を育てるという将来につながると私は期待しています。」

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空き家を活用したギャラリー(2016、展示風景)

 


-退任後も空き家を活用し町を活気づける―

協力隊の退任後、ギャラリーの運営に加えて、2024年、町の中心部に新たに宿泊施設をオープンした。
施設の名称は、『市とコージ』(https://www.chillnn.com/18f03ff8be7297)。
「五城目町の中心地に過ごしやすく便利な宿泊施設がありませんでした。地域の企業6社の力を合わせて、築40年の空き家を改修して一棟貸し可能な宿泊施設を作り上げ、現在はその運営も行っています。」
五城目に縁のあるクリエイターチームと共に改修までに何度も打合せを重ね、元の建物を活かしながら新しい要素を取り入れることにこだわった。
「ここは朝市の行われる通りの小路に位置します。昔大きな旅館があり、朝市を訪れた旅人を迎える場所だったそうです。『市とコージ』は安らげる旅先の宿としての役割を受け継ぎながら、“いつもの五城目”に飛び込む入口として、ワクワクする場所を提供していきます。また、館内には現代アートを展示していく予定です。アートには新たな視点から物事を捉え直す力があると思います。展示作品が、町の日常を非日常へと変えるきっかけを提供し、宿泊者が五城目の町をより深く、新鮮な目で体験するために機能させていきたいです。」

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空き家を活用した宿(2024)


―地域支援を行いながら自身の準備も―
 

「私は地域おこし協力隊の任期を満了していないし、経歴も特殊ですが、地域おこし協力隊制度のおかげで起業のより良いスタートを切ることができました。地域に協力する、地域活動を率先するというよりかは、地域で頑張ろうとしている人を応援する、支えるということが在任中は求められたような気がします。でも、任期が終わった後に自分が何をしたいかが、一番大切だと思います。自分の中にビジョンがあれば、任期中にそのイメージに近づくために準備が出来るし、環境を整えることが出来る制度だと思うので、地域で頑張ってみたい方はぜひ積極的に地域おこし協力隊になってみてほしいです。また、五城目町の地域おこし協力隊OBOGには、今でも県内で活躍している方が多いです。なので、一度五城目町に足を運び、考える参考にしてみてはいかがでしょうか。」

 

インタビュー日 令和6年10月21日

湯沢市 地域おこし協力隊 古賀 恵理子さん                        (活動期間:2020年4月1日〜)

PRとデザインの力で地域のブランディングに貢献する
大潟村地域おこし協力隊 明平 冬美(あけひら ふゆみ)さん
(活動期間:2021年10月〜)
○所属:大潟村総務企画課
○活動内容:地域資源の価値創出、関係交流人口の創出と拡大・イベントの開催、秋田県立大学との連携強化
○出身地:秋田市

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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