インタビュー

じぶんに根ざして、持てる力を活かして働ける秋田へ

プロフィール

元五城目町地域おこし協力隊 石田万梨奈さん(活動時期:2014年5月~2017年3月)

○現役時代の所属:五城目町まちづくり課

○現在:onozucolor代表(組織開発・人材開発)
    秋田県地域おこし協力隊ネットワーク代表

○現役時代の活動内容:移住定住支援、起業支援・雇用創出

○出身地:東京都世田谷区


―ワクワクを求めてフィールドへ―

石田さんにとって、大学時代のゼミで参加した援農体験が農山村やそこに生きる人たちに魅了される原体験になったという。社会人になって、多様性や社会課題をテーマとする動画放送局での記者や公共施設での企画、広報・ソーシャル・マーケティングに向き合った。30代半ば「フィールドに飛び込んで、これまでの経験を活かたい、より純粋にワクワクすることがしたい!」との想いが募り、気がつけば、農山村での地域づくりの仕事を探し始めていた。ご縁があったのが五城目町の地域おこし協力隊。初めての秋田にやってきた。

 


―人の想いを具現化する喜び―

五城目町での協力隊の活動は、移住・定住支援、起業や企業の支援など。

石田さんが特に注力したのは「ごじょうめ朝市plus+」の立ち上げだ。人口減少を背景に出店も客足も少なくなる一方で、当時、役場担当者は、500年続く五城目の朝市の存続に危機感を抱いていた。石田さんは、こども達の遊び場でもあり、「アナーキー」と思えるほど、多様な人が思い思いに共存していたかつての朝市に異種混淆の豊かさを強く感じ、朝市が地場のモノの売り買いだけではなく、住民が自己表現をしたり、小さなスタートアップの場として活用したり、情報が行き交い、人が出会う広場となる可能性を秘めていると感じたという。

かつてに比べ出店者も客数も少なくなっていく状況をなんとかしたいと思っていた地元女性を含む4人を中心に「ごじょうめ朝市わくわく盛上げ隊」を結成、活動を行った。

 

朝市plus+(愛称:朝ぷら)には子ども達も出店している

通常の朝市は、下一桁2、5、7、0が付く日に開催されるが、日曜日と重なる日を「ごじょうめ朝市plus+」として命名し、「新しいチャレンジが孵化する場」という企画を町に提案した。誰もが気軽に表現、出店できるようにルールを新設、コンセプトづくり、情報発信などにも取り組んだ。

それまで朝市には子どもの姿が見えない時代が続いていたが、2016年「ごじょうめ朝市plus+」初日には、3000人以上が訪れ、今では、毎回、老若男女、50店舗以上の出店者やお客さんで大きな賑わいを見せているとともに、朝市通り周辺には、空き家を活用したお店が幾つも開店した。

チャレンジを支援する活動は女性の起業でも成果が出ている。町や石田さんら、協力隊の動きも後押しとなって、カフェ、美容室、農家など女性自らの手で開業を果たした。

「想いのある熱い人がいることこそ地域の魅力。その想いをかたちにする支援ができることに喜びを感じます」。

ごじょうめ朝市わくわく盛り上げ隊(一番右が石田さん) 

 


-高校生のキャリアデザイン ネコバリ・キャリア―

「アクティブ・ラーニング〜ネコバリ・キャリアのつくり方〜」は、五城目高校と地域、明治大学国際日本学部の協力で立ち上がったプロジェクト。地域で生きる人生の先輩たちの取材を通じて、キャリアストーリーを知ってもらうと共に、自分自身に根ざしてこれからの人生をつくってもらうヒントを見つけて欲しいと、名付けた。

「地域にかっこいい大人がいる。」

「何もないと思っていた地域が輝いて見える。」

「秋田から就職で離れるが、絶対に戻ってきたいと思うようになった。」

高校生から寄せられた感想は、高校生世代へ故郷の魅力を伝え、故郷への想いを深める、自分自身に根を張る大切なキャリアデザインの場を提供できたことを物語る。

 

※ネコバリとは馬場目川の上流にある奇岩。何本もの巨木が根を張り、地面とつながっている様子から「ネコバリ(根古波離)」と名付けられた。パワースポットとも。

ネコバリ岩


―任期後のことは3年目から―
 

「のんきなもので、任期3年目の時にはじめて退任後を考え心配になりました(笑)。ただ、協力隊の活動で地域の一人ひとりの持てる力が活かされ思いが実現できるよう支援した結果、町全体の活性化につながった実感が強く、そういうことをこれからもする!」と決めて、屋号をonozucolorとして活動を始めた。

「当初は何業にしたら良いかよくわかりませんでしたが、キャリア系事業を委託で受けたり・女性系セミナーで講師をさせてもらったり・自分軸プログラム開発の企画に携わったり。国家資格のキャリアコンサルタントの資格をとったり、コーチングの勉強、人材開発の勉強等。5年位かけて何をどうしたらいいか明確になっていきました。」

同時に任期後に地元 福禄寿酒造の新規事業「下タ町醸し室HIKOBE」立ち上げにも携わった。福禄寿酒造の交流拠点と位置付けられる同施設は、カフェ、酒類販売、イベントなどを通じて五城目の文化・モノ・コトを醸すことを目指し、多くの人を呼び込んでいる。

 

協力隊の時に開催したまちづくりワークショップ


―onozucolorは持てる色を活かす!―
 

聞きなれない屋号について「おのおのが持てる力を活かしwellbeingに生きられる組織や風土をつくるというミッションを表現したもの」と説明してくれた。地域づくりの活動を通じて感じた気持ちを表したものだ。

「私自身が、秋田で持てる力を活かして、かつ「ありがとう」と言ってもらえる活動ができたので、より多くの人がそれぞれが持つ力を活かし、いきいきと働ける支援や仕組みづくりをしたいと思っています。」

人口減少となったこれからこそ、地方の持つ人や資源を十分に活かしていくことが重要で、豊かで幸せを感じられる社会ができると、キャリア支援、人材開発・組織開発など幸せな=wellbeingな組織、地域、社会創りに注力している。

「人も地域も組織も、自分自身やそれぞれの文化歴史、強みに根ざしながら、どうありたいのか、どうだったいいのか、描くこと、描こうとする事がとても大事だと思っています。それをコーチング等で引き出し、一緒に考えます。そして、その未来の実現に対して必要な伴走も行なっています。」

石田さんはこれからも秋田に根ざして活動を続けていく。

協力隊だけではなく、高校生向けのプログラムや企業向けの研修も行っている


―秋田での協力隊を考えている人へ―
 

秋田県の地域おこし協力隊ネットワークの代表として、秋田で地域おこし協力隊になった方が、地域づくりに貢献しながら、秋田で新たな人生やキャリアを創造できるよう、自治体向けの支援や協力隊向けの研修や相談など後方支援の仕事もしています。

先日も、交流会には50人以上が参加してくれて盛り上がりました。協力隊の活動は、時に孤独ですが、今の秋田の協力隊は横にも繋がっていて、お互い勇気づけあいながら活動しています。秋田に住みたい、帰りたい!地域づくりの仕事がしたいあなた、秋田で待ってます!

 

秋田県内の地域おこし協力隊が参加する交流会の様子

 

2024年1月25日インタビュー実施。

湯沢市 地域おこし協力隊 古賀 恵理子さん                        (活動期間:2020年4月1日〜)

PRとデザインの力で地域のブランディングに貢献する
大潟村地域おこし協力隊 明平 冬美(あけひら ふゆみ)さん
(活動期間:2021年10月〜)
○所属:大潟村総務企画課
○活動内容:地域資源の価値創出、関係交流人口の創出と拡大・イベントの開催、秋田県立大学との連携強化
○出身地:秋田市

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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