インタビュー

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プロフィール

秋田市地域おこし協力隊 移住コーディネーター 重久 愛さん(しげひさ いつみ)

○所属:秋田市 企画財政部 人口減少・移住定住対策課

出身地:鹿児島県与論島

○活動内容:移住・定住コーディネーター
      魅力発信
      ヨガを活用した地方創生活動


◎地域おこし協力隊になる前の経歴を教えてください。

 警視庁の刑事をしていました。転勤族で色んな場所へ行きました。東京にいた頃に、秋田出身の主人と出会い、結婚を機に秋田市へ来ました。2020 年に出産を経験し、間もなく2歳になる男の子がいます。


◎地域おこし協力隊としての活動内容を教えてください。

 移住・定住コーディネーターという立場ではありますが、その中で活動が 2 軸に分かれています。一つは定常業務として移住定住のサポート。もう一つは独自業務として自分の特技を生かした活動です。


◎地域おこし協力隊になったきっかけはなんですか?

 結婚前に、秋田県が主催する移住ツアーに参加しました。その時に A ターンサポートセンターの方から秋田市が募集することを教えていただいたのがきっかけです。

 前職にやりがいを感じていて離れるつもりはなかったのですが、実家の事情が変わり、後継ぎや両親の介護の面から周囲の反対をよそに退職することを選びました。これまで多くの相談業務等、刑事のスキルはそのまま協力隊で活かせると感じていましたし、秋田を沢山勉強できそうだったので協力隊になりました。

 知り合いが旦那しかいないことが嫌なのもあったかもしれません。


◎協力隊の退任後はどうするか決めていますか?

 今もヨガの講師をさせていただいていますが、任期後もそのままヨガを活用した事業展開を考えています。自宅スタジオの他、地域を活かし、年齢や性別、立場に関係なく誰もが楽しめるヨガの形を探求しています。子育て支援もその一つです。秋田市の子育て支援の団体さんとタイアップして色んなヨガを提供できたらなと思っています。

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◎多世代にヨガを通じて体を整えることを事業で伝えたいということですか?

 中々、言葉ではお伝えしにくいのですが、「いかに自分らしく生きていくか・楽しくゆるやかに人生を重ねていくか。」その術として、健康的な心と身体を作っていくツールの一つにヨガはあります。ヨガはとても理にかなっていて、秋田県の地域課題にそのままフィックスもできるんですよ。

 結果として、ヨガ以外のお仕事も頂いていますが、原点は『今ここにある幸せって何か。』を一番伝えたいですね。

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◎活動している中で見つけた地域の特徴や課題はありますか?

 協力隊の視点で見ると人口30万人都市である秋田市は、一般的に求められる協力隊としての在り方と質が異なり、総体的に見た底上げが求められていると感じました。ミッションや労働形態によると思いますが、大きい都市ですのでどこか一部の集落との濃い付き合いというより、自分が退任後行っていきたい“事業や関係者”にお世話になっていくかんじです。知人ゼロからスタートし、この場所で生きていくためにも全体のバランスを取りながら自分を認知してもらい定着していくのが自身の課題でもあり、今後退任後も探っていきたいです。主人が転勤族で、現在ワンオペ育児で子育てしている状況なので、余計にそう考えている部分も大きいんだと思います。課題は地域にあるのではなく、自分自身にあると思っています。

 

◎子育てと協力隊の両立はどのようにしていますか?

 1 年目の妊娠、2 年目は出産と育児に合わせて活動時間と内容を縮小させてもらうなど、柔軟な対応をしていただけました。

 こうした活動の内容は、協力隊採用前の面接時には職員の方へ正直に相談した上で採用していただいています。
1年目は自分を知っていただき、秋田市を学ぶ
2年目は出産・育児に集中しながら WEB などできることを行う
3年目は自分の定住準備をしながらヨガを活かした活動を行う
という大筋のプランでした。面接時に「あなたを採用するメリットはなんですか?」と聞かれたので、「子育て世帯に優しい秋田市と謳っているように、こうしたライフプランに沿った活動をオンタイムで発信でき、採用実績があること自体が移住の促進に求められるところなのではないか。」と偉そうに返した記憶があります。(笑)そういった事前の流れもあったと思うので、現在もいろいろと環境を工面していただいていたり(子どもの熱など)、会議もリモート参加にしていただいたりと。感謝しています。


◎例えば高齢者に向けて等、ヨガの重要性を秋田市の中で感じる場面はありますか?

 そうですね。秋田県の抱える問題としては、高齢化社会もそうですし、幸福度ランキング、寛容性ランキング、自殺率最下位などヨガで解決できてしまう社会問題ばかりです。このような現状で、どのようにして人生百年時代を謳歌していくかは重要です。特に、全国寛容性ランキング(ジェンダー面) と幸福度ランキングが、秋田は共にワーストワンという形で社会的数値に出ているのがすごくもったいないと感じます。いつ死ぬか分からないのに、人を否定して歩いたり、「何もない」と言ったりするような考えが口に出て、性格に出て、態度に出て…やがて自分に染みついてしまって、病気として現れる。そうならないようになるために、ヨガは理にかなっていると感じます。

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◎愛さんのセールスポイントを考えたりはしていますか?

 セールスポイントと意識したことはないですが、考えてみるとすれば、大きく3つあると思いました。

 1つ目は、移住・定住コーディネーターとして培ってきた役割を活かして、個々で活動しているヨガインストラクターさんと連携し、パイプ役になって、ワンチームで何かやることの強み作りの役ができます。みんなで盛り上がりを作りながら、ヨガの普及を行いたいです。

 2つ目は、与論島及びインドでの単身ヨガ留学時に培った人脈を活かして、インドと秋田を繋げられる。島の人に憧れ・北国秋田を案内してあげたい!自分という人間(パイプ)を介して、それぞれの文化や生活などを体験し合いたいです。

 例えば、与論島の黒糖を秋田の商品に使用するなど、見えない小さな部分でも与論島と秋田が繋がれば最高だと思っています。インドとタイアップしたウェルネスツーリズムもできるのでは。与論、秋田、インドを、物質的なものと精神的なものの交流でつなげるパイプ役になり化学反応を起こしたいです。

 3つ目は、元刑事の経験を活かせること。元々ヨガが日本に伝わった理由は経営哲学、マインド面から入ってきています。自分のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいか。など、ロジカルに科学的に紐解くのが得意なので、相手の状態や状況に合わせて、必要と感じたら時に厳しく発言することもあります。そうしたこともあってか、仕事でもプライベートでもよく相談を受けていて、内容は子育ての悩み、離婚相談など様々です。もちろん、保秘徹底です!


◎コンサルのような感じですが、今後こうして相談されてきた方が、事業への優良参加者になっていく可能性はありますか?

 まだ未定です。お客様を深堀し、自分探しのお手伝いとしてやりたいことを見つけたり、自分軸のサポートを行うことは、ヨガにも通じますし、前職の経験から信頼性や需要も高いとは思いますが、あまりギラギラしたくありません。(笑)

 お客様が気が付いていない、外に向いている気持ちを内側に向けるお手伝いは行いたいです。


◎今の秋田(市)に期待できる部分や将来の展望などはありますか?

 個人でも企業でも、ビジネスチャンスはあるのではないでしょうか。一点言わせていただくとすれば、東京で行われた A ターンフェアを視察したときに、ふんぞり返りながら、『結婚を機に秋田に移住?その年齢だとすぐに子どもだよね?以前にそんな人をうちで採用してやったけど、すぐに辞めていったよ。はっはっは。』とおっしゃる社長さんがいらっしゃいました。確かに、雇用側は大変です。ですが、時代遅れです。即戦力を活かすも殺すもそうしたマインド全てできまります。人口減少が進む世界で雇用の創出ができない組織に将来性は期待できないと思って聞いていましたが、そこに期待したいですね。

 一方で、何かしたいと思った時に誰かに相談しようとすると、繋げてくださる方が多くいらっしゃると感じます。東京だと想定もできないくらい、距離が近いですね。その点、秋田はみんなで頑張れる可能性があると感じます。

 しょしがりさんなだけです。未踏の地も魅力がまだまだありそうだし。


◎その未踏の地を掘るのが上手と感じました。みんなで楽しく暮らすための底上げをしたという印象を受けましたが、意識していることはありますか?

 「毎日の自分の生活をいかに自分事化できるか」を考えています。前職でこれまで、多くの方の死という形や、局面、事件事故に対面してきた自分だからこそ、そう思います。人生は一回きりで、後悔しても変えられない。今の自分の気持ちが未来や過去や、外的要因に向いていては『今』をおざなりにしてしまうというか…。『どれだけ幸せだと思えて死ねるか。笑って死ねる今日だったか。』結局たどり着く考えはそこですかね。『誰かを憎んでいる自分は好きか?』いや、みんなそうじゃないはずだと思っています。言葉にすると、重く聞こえますが、もっとライトに軽やかに。『もっと自分を大切にして生きてください』を伝えたいです。


◎経歴を聞かせてもらったので言葉の重みをより感じました。優しい正義感を基盤にして、やれることを固めていっている段階なのをとても感じました。最後にこれから協力隊を考えている方へメッセージをお願いします。

 まずはなりたいと思っている自治体の人とよく話して、ミスマッチが無いようにした方がいいです。その懸念事項がクリアになって、その中で迷っていたならその段階であなたの答えはもう出ているはず。なりたい自分がもう描けていてそれに協力隊がマッチするとしたら、選べばいいのではないかと思います。自分の生き方に活用できそうだったら選択肢の一つとしてやるととても面白い仕事です。

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令和4年2月7日インタビュー実施。

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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