インタビュー

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プロフィール

鹿角市地域おこし協力隊 眞鍋 雄次さん(まなべ ゆうじ)

○所属:鹿角市総務部 政策企画課 鹿角ライフ促進班

○出身地:香川県三豊市

○活動内容:移住希望者からの相談対応や情報発信・PR
      「いつでもお試し移住ツアー」等の企画提供
      「お試し住宅」等市内の移住受入態勢の整備
      「ウェルカム事業」等移住後のサポート
      空き家データバンクの管理・運営   など


◎地域おこしになる前の経歴を教えてください。

 自動車メーカーのホンダで13年間働いたあと、独立して今に至ります。ホンダでは多くの職種を経験しました。自動車整備士、自動車の登録業務、自動車の任意保険業務、経理業務、コンプライアンス業務、カスタマーアテンダント業務、営業業務です。独立してからは、パソコンインストラクター、ドラム講師、カーオーディオをはじめとする自動車用品取り付けなどのサービス業と、アフィリエイト業を営んでいました。


◎地域おこし協力隊になったきっかけを教えてください。

 協力隊になったきっかけは、移住しようと思ったきっかけでもあると思っていますので、まずはそちらからお伝えさせてください。

 私が移住しようと思ったきっかけは、2人の息子の育児環境改善の為です。当時、妻と息子達2人の、家族4人でマンションに住んでいたのですが、仕事から帰ってくると、子達が暴れていたせいか、家具が壊れている事や、家の壁紙が剥がれている事がありました。当然良くない事なので、その都度叱ってはいたものの、ある時ふと、「子供って、暴れるのが普通だよな。今叱っているのは、大人の都合を子供に押し付けているだけなのかも知れない。もしかして間違っているのは自分なんじゃないか?」そう感じたのが移住しようと思ったきっかけです。次に、地域おこし協力隊になったきっかけですが、私は当時独立してサービス業等を営んでいたのもあり、香川県に住み続けることに執着しておらず、子供がのびのび過ごせる、もっと言えば走り回っても大丈夫な一軒家に住むことができれば、どこに住んでもなんとかなると思っていました。そこで、実際に全国の空き家バンクの物件を閲覧し、アパートの一室を借りる値段で一軒家を借りられるという、夢のような話が現実になる場所を見つけました。それが秋田県です。

 ただ、秋田県は香川県から約 1,200km 離れており、非常に距離があります。更には、全く縁もゆかりもない土地に家族で I タ-ン移住です。これでは、一般的な事業所の場合、採用担当者はきっと冗談だと思い、相手にしてもらえないだろうと思いました。

 とはいえ、仕事が決まらないと住む場所は決まらないし、住む場所が決まらないと仕事は決まらない現実を目のあたりにし落ち込みました。しかし方法はありました。それが地域おこし協力隊制度です。地域おこし協力隊制度なら、今どこに住んでいて、どれだけ距離が離れていたとしても、新しい土地に住むことを理解してもらいやすく、期間は限定されるものの、採用が決まれば、家も仕事も同時に手に入る。これなら育児環境改善の想いが叶いそうだと思いました。それが地域おこし協力隊になったきっかけです。


◎秋田の中でも鹿角にした理由は何ですか?

 鹿角市の地域おこし協力隊 OB・OG が中心となり設立された、移住・定住のサポートを行う NPO 法人「かづの classy(クラッシィ)」の存在が大きかったと思います。私は移住前に、鹿角市へ移住を検討している方を対象に行う「いつでもお試し移住ツアー」を申し込んだ一人でもあるのですが、その行程先で、かづの classy 理事長木村芳兼氏と、事務局長松村託磨氏と会食の機会をいただきました。お二人は、共に元鹿角市地域おこし協力隊員です。その会食時には、協力隊として活動していた時のお話や、かづの classy の取組を教えていただき、こんなにも熱い想いをもってお仕事に向き合っている人達がいる鹿角は、きっと良い場所に違いないと思い、鹿角にしました。


◎実際に鹿角市に住んでみてどうですか?

 思っていたとおりとてもいいところです。特に人が良いです。市役所の方も地域の方も、みんな親身になって移住者である私と同じ立場になって考えてくださる。すごく温かい。家族で移住し不安でいっぱいでしたが、その不安を和らげてくれたのもまた鹿角の皆さまでした。おかげで仕事も順調です。これに関しては「共同浴場」抜きには語れません。

 私は、鹿角市の十和田大湯という地区に住んでいます。その地域では、天然温泉が豊富に湧き出ており、その温泉が源泉の「共同浴場」が4つもあります。私はその中でも「下の湯共同浴場」を毎日利用させていただいているのですが、そこで地域の方々と触れ合う機会が自然と生まれた結果、自分を知ってもらえたという実感があります。話は戻りますが、共同浴場のように、地域の方とコミュニケーションを取れる場所があることが、仕事が順調である理由の一つだと思っています。ちなみに、令和2年度の秋田県移住ガイドブック「“秋田暮らし"はじめの一歩」をご覧になったことはありますか?あの表紙には、「下の湯共同浴場」と、そこを利用されている皆さまと共に、私たち家族も映っています。そして、そこに映っている方々の多くは、なにを隠そう私の声かけで集まってくださったご近所の皆さまなのです!

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◎実際に鹿角市に住んでみて不便なところや不満に思うところはありますか?

 自宅に侵入してくるカメムシ以外は(笑)そうありません。妻は虫が大の苦手で、何とかしてほしいという事で、カメムシの侵入経路を徹底的に塞ぐ対策を施しました。

 他には、家の鍵をかけない、何をするにも自動車が必要、などよく言われている事ですが、そういった環境自体は、出身地の香川県三豊市とそんなに変わりません。プライバシーがあまりないっていうところも一緒ですね(笑)ですので、そこにも不満はありません。むしろ私の頑張りをきちんと見て下さっている。私が地方紙に掲載されていると自分事のように喜んで下さる。そのお気持ちがありがたいです。地方が不便とは言われますが、不便だろうが何だろうが、何かしら方法はあるなと思いました。


◎協力隊活動のポジティブ、ネガティブ面について教えてください。

 ポジティブ面は、地域おこし協力隊ということだけで、注目してくださっていることだと思います。自分をアピールするチャンス、知ってもらえるチャンスが自然と存在している。こんないい事はないと思います。

 逆にネガティブ面は、地域おこし協力隊になった途端、数百人のフォロワーが存在するSNS アカウントの運営・管理を任されることです。これには恐怖を覚えました。SNS はスピード感が大切だと言われていますが、いきなり数百人のフォロワーがいるアカウントを任されてしまうと、情報発信も慎重になってしまいます。そのあたりがネガティブ面かもしれません。でもこれは、嬉しい悲鳴かもしれませんね。(笑)


◎任期満了後の展望を教えてください。

 任期満了後も鹿角市に住み続ける予定です。任期満了と同時に鹿角市内の事業者さんとの事業承継を予定しています。「すいーとぽてと青の木」さんです。


◎事業承継をすることになったきっかけは何ですか?

 任期満了後に起業するとしても、香川県で行っていたサービス業で生計を立てるのは難しいかもしれないと思い、方向転換の必要性を感じていたのが事業承継をすることになったきっかけです。そんな中、鹿角市で日本ワインを製造・販売されている「ワイナリーこのはな」代表の三ケ田さんから、「後継者を探しているお店がある。興味があるなら行ってみれば?」と教えていただきました。

 実際に店舗を訪れ、店主の青木さんと話をしていく流れで我々は、お互いに家族で鹿角にI ターン移住したもの同士であることが分かりました。青木さんは、家族で I ターン移住した勇気にとても感心してくださり、その結果、「後継者にならないか?」と仰っていただきました。私は、「お願いします。」と即答。それからというもの、協力隊活動時間外に暇を見つけては会いに行っています。


◎実際に事業承継した時に、挑戦したいことはありますか?

 挑戦したいことはありますが、まずは今のままをそのまま継ぐ事が最優先だと思っています。挑戦は、その後からでも遅くはないと思っています。


◎事業承継への市役所の理解はありますか?

 あります。とても協力的でありがたいです。具体的には、平日に事業承継活動の時間を設けていただきました。とはいっても、私の協力隊活動のミッションは移住・定住のサポートであり、事業承継ではありません。つまり協力隊の制度上、活動時間中に事業承継に係る時間は作れません。では、どうやってその時間を設けていただいたのかというと、ここに、私の任用形態が直接雇用の、パートタイム会計年度任用職員であることが挙げられます。

 詳しくお伝えすると、私の任用条件通知書には、1日6時間、週 30 時間の勤務であることが書かれています。つまり、週5日勤務ですね。実はこれがポイントで、これを、週 30時間という勤務時間はそのままに、1 日7.5時間とする任用条件変更を行っていただきました。その結果、週の勤務日数は5日から4日になり、そこで生まれた空白を事業承継に係る時間として活用できています。正直、こんなにも柔軟な対応をしてくださることに、良い意味で驚きました。もちろんその想いを無駄にしないよう、頑張って修行に励んでいます。


◎これから地域おこし協力隊になりたい人へのメッセージをお願いします。

 私は、協力隊制度がなければ、子供たちが家の中を走り回れる今の生活も、事業承継の未来もなかったと思います。これから地域おこし協力隊になりたい人には、移住の選択肢の一つとして、ぜひこの制度を活用して移住の実現を果たしてほしいと思います。


◎最後に一言お願いします。

 私が何かを決断する時の基準は「妻が笑顔でいてくれるかどうか」です。妻が笑顔なら、子供たちも笑顔になり、私も笑顔になれます。香川県から秋田県への移住を決断した時に妻は、自分たちの都合で、子供の生活環境や人間関係が一変する事にとても不安を覚えていました。でも私は、「子供たちにとって大切なのは、私達がいかに笑顔で楽しい姿を見せられるかだよ。私達が笑顔でいられたら、子供たちはきっと大丈夫。私は移住先でもあなたを笑顔にする自信がある。移住しよう。」そう伝えて今があります。

 すべてのことに感謝。やってくれることが当たり前ではないと痛感しています。このような機会を作ってくださり、本当にありがとうございました。

令和4年2月10日インタビュー実施。

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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