インタビュー

ホタルを守るかき氷、ハロウィンカボチャ生産販売など「どこでも誰でも出来る」を目指した地域経済活性化

プロフィール

元大仙市地域おこし協力隊 大森 拓也さん(活動期間:2021年4月~2022年12月)

○現役時代の所属:大仙市移住定住促進課(現在:大仙市で起業)

○活動内容:地場産品を用いたお土産品の商品開発、地域資源の可視化・発掘・価値創造、
      地元企業等との連携による商品化

○出身地:栃木県宇都宮市(直前の居住地:東京都)


やりたいことをやるために秋田県大仙市へ

栃木県宇都宮市出身。県外へ出るつもりはなかったが、外資系ベンチャー企業で働くことになり東京へ移住。その後は起業や事業開発に携わる仕事を続けてきた大森さん。

「アイディアを出して、それを実現させるために試行錯誤することが好きです。結果として、0から1をつくる仕事を20年近く続けてきました。業界も様々です。変わったものでは、外国人コスプレイヤーのメイドカフェや芸能事務所を開業して、クールジャパンの機運が高まる中で国際交流コスプレイベントを主催していたところ、大使館から日本と海外のコスプレイヤーがお互いの国を訪問し合う企画運営の依頼を受けたことがありました。」

東京で様々なチャレンジを続けている中で、地方に目が向いたのは5年前。

「都市部だからやりやすい企画と、逆に都市部だから実行しにくい企画の両方があります。都市部での活動を続けているうちに、地方で活動してみたいという気持ちが年々高まっていきました。」

都市部を離れる機会を探っている中で見つけたのが大仙市地域おこし協力隊だった。

「協力隊制度を知って情報収集をしました。そのまま移住することを前提に考えていたので、定住の準備にもなる任務はないだろうかと探していて見つけたのが“地場産品を用いたお土産品の商品開発”という秋田県大仙市の募集でした。大仙市どころか秋田県、東北地方にさえ知り合いが一人もいませんでしたが、自分がやりたいことをやるためのチャンスだと感じたので迷うことなく飛び込みました。」


地域活性化=地域経済活性化

就任してすぐに『ホタルを守るかき氷』として、売上の一部を地元のホタル保護活動に寄付するかき氷を企画。地元窯元にオリジナル器の製作を依頼し、地元商店や生産者から氷やシロップ・トッピングに使う食材を仕入れ、自身で販売するのではなく地元カフェに夏の定番メニューとして取り入れてもらう形で販売するなど、収益が地域にまわることを意識したという。

販売開始時のメニュー。右下がオリジナル器。


「売上や収益も順調で、このまま私の手を離れて5年10年と自走する企画になったと思います。地域活性化というと難しく考えがちですが、どこでも誰でも出来るような題材に少しの工夫を加えるだけでも可能だ、という事例になることを目指しました。今回はかき氷を軸にして地域の受益者を出来るだけ増やしていく取り組みでしたが、かき氷をシュークリーム・焼き芋・カレーなどに置き換えるだけで新しい展開が可能です。どこでも誰でも何度でも使いまわせる方法で、こういった商品を5個作るだけでも地域が賑わってくると思います。お金の流れがある所に人は集まってきますので、持続する地域収入を増やすことは地域活性化の基本だと考えています。」

かき氷は大曲駅前のプラスカフェで販売。好評を博して2年目には、オリジナル抹茶シロップを作るために地元お茶屋さんから抹茶を仕入れ、トッピングとなるミニ大福を地元和菓子店に特注するなど、更なる連携が実現している。

大仙市ホタル保護かき氷


米農家と連携した土産品の開発も進んでいる。現在取り組んでいるのはポン菓子をチョコレートでコーティングした「チョコポン菓子」だ。

「秋田土産はきりたんぽ鍋セットや日本酒など自宅用・贈答用は揃っているので、職場で気軽に一個ずつ配れるような土産品を増やしたいと考えました。秋田県大仙市と言えば『米』ですが消費量や価格の下落という悩みがあり、それを解決したいという思いもあって地元の米農家に声を掛けて商品開発をスタートしました。」

とはいえ、商品開発は簡単ではないという。

「最初は飴でコーティングすることを考えていたのですが、パティシエの地域おこし協力隊(大館市・藤田雄佑さん)に相談をしたところ個人の技術力に左右されることが分かって試作段階で中止にしたり、チョコレートで試作をしてみたら気温が上がる夏の取り扱いが難しいことが分かったりなど、まさに三歩進んで二歩下がる、の繰り返しでした。今は中身の開発が終わりパッケージをつくっているところです。もう少しで完成すると思うと気持ちが高まりますね。」

笑顔で語る大森さんは、早くも次を見据えて心を弾ませている。


地域外から収益を得るための取り組み

大森さんの活動は地域内だけにとどまらない。地域外から収益を得るためにハロウィンカボチャの生産を広めることにも取り組んでいる。

ハロウィンカボチャ生産風景

「東京に長らく住んでいたからこそ出来ることもあると考えています。ハロウィンカボチャは飾りに使うため味や形を気にしなくてよいにもかかわらず結構高く売れる。「試しに生産してみましょう!」と大仙市内で声掛けしたところ13軒の農家が応じてくださり、初年は400個収穫して300個を販売、イベントの飾り付けに100個使いました。2年目は生産数を700個に増やしましたが10月上旬には完売予定、よみうりランドとのタイアップ企画が決まり300個納品するといったブランディングも進めています。大仙市がハロウィンカボチャ産地であることを広く知ってもらって農家の新たな収入源になればと考えています。」

2022「よみうりランドHANA・BIYORI」園内の様子

園内で購入することもできるハロウィンカボチャ


地域おこし協力隊制度について考える

地域おこし協力隊は可能性にあふれる制度であること、ただし雇う側と雇われる側の両者が使い方を理解していなければまったく機能しないと、大森さんは熱く語る。

「私の経験からは、業界・職種を問わず起業や独立の準備を進めているけれどその機会をつかめずに都市部でくすぶっている人は地域おこし協力隊になることが近道になると感じています。地域おこし協力隊は地域活性化や地方移住に興味がある人がなるものというイメージがあると思いますが、自分の起業や独立を実現するためのステップとしても非常に有用です。協力隊の任期は最大3年間ですが、明確な目的をもって活動をすれば、任期中に起業や独立できるだけの状態になっているはずです。それだけ素晴らしい環境があります。その土地が気に入ればそこで起業や開業をすれば良いし、都市部へ戻って起業や開業をして、活動地域とは関係人口としてつながりを持つのも良いと思います。いずれにしても、今のまま都市部で数年過ごすよりも遥かに早いスピードで目指している自分に近づけます。自分のために地域おこし協力隊制度を利用するわけですが、自分のやりたいこととと自治体が求めていることがマッチし、その結果として地方活性化になれば両者に取ってメリットがあります。もっと詳しい話を聞きたい人がいれば気軽に連絡ください。」

2022年9月7日インタビュー実施。

湯沢市 地域おこし協力隊 古賀 恵理子さん                        (活動期間:2020年4月1日〜)

PRとデザインの力で地域のブランディングに貢献する
大潟村地域おこし協力隊 明平 冬美(あけひら ふゆみ)さん
(活動期間:2021年10月〜)
○所属:大潟村総務企画課
○活動内容:地域資源の価値創出、関係交流人口の創出と拡大・イベントの開催、秋田県立大学との連携強化
○出身地:秋田市

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部移住・定住促進課
  • 〒010-8570 秋田市山王4-1-1
  • Tel:018-860-1234 Fax:018-860-3871

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